毎日使っている炊飯器が、少し前から様子がおかしくなってきました。

ボタンを1回押しただけでは、動かないことがあるのです。2回、3回と押して、やっと炊きはじめる。中の部品が古くなってきたのだと思います。
8年間、毎日炊いてきました。そろそろ寿命なのでしょう。
今日はちゃんと炊けています。でも、そのうち炊けなくなる日が来ます。だから今、次の炊飯器を選んでいます。
前のときは、掃除をしたら直りました

実は今年の夏にも、一度「壊れたか」と思ったことがありました。
そのときは、炊飯の途中で電源が切れてしまう症状でした。もう買い替えるつもりでいたのですが、念のため本体をひっくり返してみたら、存在すら知らなかった排気口に、8年分のホコリがびっしり詰まっていたのです。掃除をしたら、あっさり直りました。
ですから今回も、まず疑ってみました。でも今度は症状が違います。電源が切れるのではなく、ボタンを押しても反応しないのです。掃除では直りませんでした。
今度こそ、本当に年貢の納めどきなのだと思います。
8年前に選んだのは、サイコロ型のシャンパンゴールドでした

今使っているのは、三菱電機のNJ-ST06R「炭炊釜」3合炊きです。
取扱説明書の表紙に、自分で書いた文字が残っています。「2018.1.6 ¥24,624 コジマ」。買った日と、値段と、お店の名前です。こういうことを書いておくと、8年後の自分が助かります。
この炊飯器を選んだ理由は、以前くわしく書きました。3合炊きにしたこと、サイコロのような四角い形にしたこと。そして色です。
シルバーがかったシャンパンゴールド。我が家の台所は昭和のままの造りで、モデルルームのようにきれいではありません。だからこそ、悪目立ちしない色がありがたかったのです。
それから、操作ボタンが上面にまとまっていること。棚の下段に置いているので、引き出したときに上からボタンが全部見えて、そのまま押せます。小さいことですが、毎日使うものだからこそ大事なポイントでした。
我が家は毎日炊きます。冷凍保存はしません

たくさん炊いて、小分けにして冷凍しているお宅も多いですよね。合理的だと思います。でも我が家は、逆にそれが面倒なのです。
炊きたてのおいしいご飯が食べたい。それだけの理由で、毎日炊いています。
だから選ぶのは3合炊きです。大きいものは要りません。ただし、少ない量でもおいしく炊けること。ここは譲れません。
圧力IHに惹かれていました

さて、買い替えです。家電量販店にも、もう2回見に行きました。
正直に言うと、今の炊飯器の味には、何の不満もありません。8年間、おいしく食べてきました。
それなのに、次は圧力IHにしようかと心が揺らいでいました。理由は単純です。圧力がかかったほうが、今よりおいしく炊けるのかなと思ったからです。
タイガーの3.5合炊き(JPD-G060)が候補でした。土鍋のような炊き上がりが売りで、3万円ちょっと。悪くありません。
三菱に圧力IHがないのは、わざとでした
調べていて、初めて知ったことがあります。
三菱の炊飯器には、圧力IHがありません。品切れなのではなく、最上位機種にも、ひとつもないのです。
理由は、会社の方針でした。圧力をかけるとお米の水分が多くなって、べたっとやわらかいご飯になる。圧力をかけずに炊けば、水分を保ちながらも粒感が残って、かまどで炊いたご飯に近くなる。だから三菱は、圧力に頼らず、炭を使った内釜で一気に高火力で炊く。そういう考え方だそうです。
つまり、こういうことでした。
- 三菱(圧力なし)……粒立ち、しゃっきり、かため
- 圧力IH……ねばり、もちもち、やわらかめ
私は8年間、しゃっきりしたご飯を食べてきて、それが好きだったわけです。
圧力IHにするというのは、性能が上がるという話ではなくて、ご飯の顔つきが変わるという話でした。それに気づいたら、迷いが消えました。上を目指しているつもりで、実は横に移ろうとしていたのです。
3合炊きでは、これがいちばん小さかった

もうひとつ、実際に見て決めたことがあります。
家電量販店には2回行きました。並んでいる3合炊きを片っ端から見て、外形の寸法を測って回ったのです。
わかったのは、3合炊きの中で、これがいちばんコンパクトだったということでした。
我が家は鉄筋の狭小3階建てで、台所のスペースも限られています。炊飯器は棚の決まった場所に置きっぱなしにするので、そこにきちんと収まるかどうかが大事でした。
ちなみに最近の炊飯器は、3合炊きのほうが5合炊きより大きいことがあります。不思議ですが、本当です。
最新型が、8年前より安かった
値段を調べて、驚きました。
候補にした三菱のNJ-SE06Hは、2025年7月に出たばかりの最新型です。メーカーの想定価格は41,800円。
ところが価格.comで見たら、19,760円(白)でした。想定価格の半額以下です。
さらに面白いことがあります。ひとつ前の型(NJ-SE06F)は28,600円でした。最新型のほうが、型落ちより9,000円ほど安い。型落ちを狙う必要がありませんでした。
そして極めつけが、これです。
8年前に買った今の炊飯器は、24,624円でした。
8年経って、値段は下がっている。同じ3合炊きが、当時より5,000円近く安く買えるのです。
もうひとつ。私は最初、楽天市場で探していました。そこでは白も黒も、一番安いモデルが売り切れていました。ところが価格.comでは、普通に在庫がありました。
同じものでも、見る場所で値段も在庫も違う。これは以前書いた、175円のカードリーダーとまったく同じ話です。
ひとつだけ残念なことがあります。シャンパンゴールドは、もうありません。今の炊飯器は白と黒しかないのです。白亜麻という名前のオフホワイトが、いちばん台所に馴染みそうでした。
実は、お鍋で炊くという選択肢が私にはありません
ここで、正直な話をします。
炊飯器が壊れたら、お鍋で炊けばいいのです。土鍋でも文化鍋でも、ちゃんとおいしく炊けます。ガス代のほうが安いくらいでしょう。
でも、我が家ではそれができません。
お米をといでご飯を炊くのは、半分は夫の仕事だからです。
夫は、炊飯器なら炊けます。でも、お鍋では炊けません。だから炊飯器がなくなると、その仕事が全部、私に戻ってきてしまいます。
昔は、こんなふうに考えていました。夫が一生懸命働いてきてくれるのだから、ご飯くらい一生懸命作ってあげなければ、と。
でも今は、少し違います。定年してパートタイム勤務になった夫は、割とのんびり暮らしています。働いている量でいえば、今は私のほうが多いくらいです。
だから思うのです。せめてご飯くらいは、お米を洗って炊いてくれてもいいのではないかと。そして実際、それをしてもらえるだけで、私は本当に助かっています。
つまり、この2万円は、ご飯を炊くためのお金ではありません。夫に家事を続けてもらうためのお金です。
電気釜は「主婦の睡眠時間を1時間のばした」

ここまで考えていて、あることを思い出しました。
日本で初めての自動式電気釜が発売されたのは、1955年(昭和30年)12月10日。東芝のER-4という製品です。
それまでは、薪やガスのかまどでご飯を炊いていました。火加減を見ながら、そばについていなければいけません。朝ごはんのために、主婦は早起きして、かまどの番をしていたわけです。
値段は3,200円でした。当時、公務員の初任給が1万円に届かなかった時代です。初任給の3分の1以上。決して安い買い物ではありません。
それでも、生産が追いつかないほど売れました。最盛期には月に15万個以上。9年間、モデルチェンジをしなかったそうです。
そして、この電気釜はこう言われました。
「主婦の睡眠時間を1時間のばした」
まとめ・70年経っても、炊飯器の仕事は同じでした
初任給の3分の1を払ってでも、主婦たちはこれを欲しがりました。1時間眠れるようになるなら、それだけの価値があったということです。
今、私が買おうとしている炊飯器は19,760円です。今の初任給を20万円とすれば、10分の1くらい。値段は、ずいぶん手が届きやすくなりました。
でも、やっていることは同じでした。
昭和の主婦は、かまどの番から解放されて、1時間眠れるようになった。私は、ご飯炊きを夫に任せられることで、自分の時間を守っています。
解放される人は変わっても、炊飯器がしている仕事は、70年前と同じなのです。誰かの時間を作っている。
私たちはもう、炊飯器があるのが当たり前になりすぎて、そのありがたみを忘れています。私も8年間、何とも思わずにボタンを押してきました。
ボタンを2回、3回と押さないと動かなくなって、初めて気づきました。私はこの機械に、どれだけ時間を節約してもらっていたんだろう、と。
「同じものなら、安いほうを選ぶ」というのが私のやり方です。でも、自分にとって本当に必要なものには、ちゃんと払います。
この炊飯器は、私の時間を守ってくれる道具です。だから、迷わず払おうと思っています。
【書いた人】
のらりくらりゆる〜く生活のストレスを排除しながらプチ節約をして、介護職でもひとりでも20年で住宅ローンを一人で完済。アラ還でFIREに辿り着いたりすねえです。



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