我が家の台所の引き出しを開けると、お鍋がすっぽりすっぽりと、まるで入れ子人形マトリョーシカのように重なっています。
アパート暮らしの収納の悩みから

私は、かれこれ30年ほど前から、入れ子になるお鍋を使っています。きっかけは、アパート暮らしで収納スペースに困ったことでした。気に入ったお鍋を大きさ違いでいくつも買ってしまう性格なので、どうしても収納に困ることが多かったのです。
お鍋というと、以前圧力鍋との出会いの話を書きましたが、今回は日々の煮炊きに使う、入れ子式のお鍋たちの話です。
やっとこ鍋という、料亭では定番の道具

そんな時に出会ったのが「やっとこ鍋」でした。これは、雪平鍋の取っ手がついていないタイプのお鍋です。家庭で使っている人は珍しいかもしれませんが、料亭ではポピュラーに使われている道具です。
「やっとこ鍋」という名前は、取っ手がない代わりに、ペンチのような「やっとこ」という道具でつまんで、火から下ろすことに由来しているのだと思います。取っ手がない分、サイズ違いのお鍋を、まさにマトリョーシカのように中に重ねて収納できます。とても省スペースです。
私は和の料理を作るときに使うことが多く、ボール代わりに使うこともあります。
取っ手なしでも、想像以上に安定してつまめる

「取っ手がないなんて、やっとこで挟んで持ち上げるのは不安定なのでは」と思われるかもしれません。でも、やっとこは両手でしっかり挟んで使う道具なので、想像しているよりもずっと安定してつまみやすくできています。
そして、やっとこ鍋の一番の強みは、経年劣化の心配がまったくないことです。雪平鍋は年月が経つと、取っ手の付け根が緩んできたり、焦げついて取れてしまったりすることがあります。取っ手がそもそもないやっとこ鍋には、そうした心配が一切ありません。30年使い続けても、まったく問題なく現役です。
購入したのは、渋谷の東急にあった雑誌「クロワッサン」のショップでした。やっとこ鍋といえば日本橋の木屋が有名なのですが、同じものがそこで売られているのを見つけ、木屋より少し安かったことも決め手になりました。当時、料理研究家のアシスタントの仕事をしていたので、調理道具にはいつもアンテナを張っていたのです。
ル・クルーゼも、実は入れ子になります

意外に思われるかもしれませんが、実はル・クルーゼも入れ子にできます。私が今使っているスタンダードの24cmサイズには、一番小さいサイズのお鍋がすっぽりと収まるのです。小さい方は、ソースを作ったり、少量のものを煮たりするときに活躍しています。
このオレンジ色のル・クルーゼは、仕事の縁で当時割引をしてもらって購入したものです。今使っているのは実は2代目。1代目がダメになったとき、シチューやカレーがいつもプロのような仕上がりになることを知っていたので、迷わず買い直しました。オレンジ色は、昔から私の大好きな色でもあります。
クリステルは、フォルムに一目惚れ

もう一つの入れ子鍋が、クリステルです。こちらも取っ手が着脱できるタイプですが、フォルムのシンプルさと美しさ、そして大好きな入れ子構造ということで、雑誌で見て一目惚れしました。当時でも大変高価でしたが、一生ものだという思いで購入しました。
蓋も工夫されていて、ひっくり返すとバットのような役目を果たしてくれます。特に年末のおせち料理を作るときは、鍋も蓋もフル稼働。よく考えられたお鍋だと、使うたびに感心します。洋風の食事を作るときに、主に活躍しています。
入れ子鍋の、正直な不便さ
もちろん、いいことばかりではありません。重ねてしまうと、全体としては重くなります。うちのキッチンでは引き出し式の収納にしていますが、それでも少し重さは感じます。また、入れ子になっている分、真ん中サイズを取り出したいときは、小さいお鍋をいちいち出さなければならない手間もあります。
それでも、省スペースできれいに収まるという利点の方が、私にとってはずっと大きいのです。30年使ってきて、この不便さは十分に許容範囲だと感じています。
まとめ・お気に入りは、重ねてこそ活きる
やっとこ鍋もクリステルもル・クルーゼも、それぞれ違う理由で私のもとにやってきましたが、共通しているのは「入れ子になる」という機能への愛着です。
気に入ったものを増やしても、重ねてしまえばきちんと収まる——そんな安心感が、長年これらのお鍋を使い続けている理由なのだと思います。
※商品の仕様や収納方法の感じ方には個人差があります。あくまで我が家の体験談としてお読みください。
【書いた人】
のらりくらりゆる〜く生活のストレスを排除しながらプチ節約をして、介護職でもひとりでも20年で住宅ローンを一人で完済。アラ還でFIREに辿り着いたりすねえです。


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