朝、家を出て1分ほど漕いだところでした。
路地の角を曲がった瞬間、パン!と鳴りました。

紙袋を叩き割った音の100倍くらいの大きさです。発砲があったのかと思うような、弾かれたような音でした。思わず止まって、首をすくめました。
そばにいた女性も驚いて、「なんだろう」という表情でこちらを見ています。お互い顔を見合わせてしまいました。
自分の自転車のタイヤの音だとは、まだ思っていないのです。
そのあと何事もなかったように3〜4回ペダルを踏んだところで、違和感を覚えました。
もしや。
14年乗っている自転車ですが、あんなに大きな音を放ってパンクするという経験は初めてでした。

美容室まで、引いていきました

その日は美容室に行くところでした。そのまま引いて歩いていくことにしました。
髪をきれいにしてもらっている間に、自転車を直してもらおうと思ったのです。道の途中に自転車屋さんが2軒あった記憶がありました。
我ながらいい考えだと思いました。
1軒目と2軒目・とっくに閉店していました
誤算でした。
その2軒は、随分前に閉店してしまっていたのです。

前を通ったときに「しまった、そうだった」と思い出しました。知っていたはずのことを、すっかり忘れていたのです。
髪をやってもらっている間に直してもらおうという考えは、ここで打ち砕かれました。
3軒目・3日前に閉店していました
ほかに直してくれるところを思い出しました。近くのイトーヨーカドーです。あそこの中に修理屋さんが入っていました。
ところがそのイトーヨーカドーが、3日前に閉店していました。
お店ごとなくなってしまったのですから、中の修理屋さんもありません。
4軒目・水曜日でした
仕方がないのでスマホで検索しました。美容室が終わったあと、逆方面のお店まで手で引いていくことにしました。
ところが水曜日でした。
お休みで、見当たりませんでした。

実は前輪がパンクしたときも水曜日だったのです。かなり遠方にいて、自転車屋さんが全部定休日で、なくなく3キロほど押して帰ったことを思い出しました。
2回とも水曜日です。自転車屋さんの定休日は水曜日が多いということを、私は2回覚え損ねているわけですね。
5軒目・美容師さんが教えてくれました
助けてくれたのは美容師さんでした。
もう少し先に新しい自転車屋さんができている、と教えてくれたのです。そこまで持っていって、やっと5軒目のヒットでした。
自宅から歩いて12〜13分といったところでしょうか。
実を言うと、自宅の周りにも2軒あるのはわかっていました。そちらに預ければ、帰りは歩いてすぐだったはずです。
でもパンクした自転車を押して、自宅を通り越して持っていく気力がありませんでした。とにかく預けたい一心だったのです。
「14年使っている割に、綺麗ですね」
やっとたどり着いたお店の方に、そう言われました。
押して歩き回った1日でしたから、この一言は嬉しかったです。これは本音です。
なぜ綺麗なのかは、前に書きました。訪問前に早く着いたときにタオルで拭く、チェーンにKURE55をひと吹きする、帰ったらカバーをかける。そういう数分のことです。
→ 物の手入れがFIREへの道だった|賃金が上がらない時代に私がやったこと
そのカバーというのは、福祉用具屋さんでいただいた大きなビニール袋です。捨てられるはずだったものが、13年うちの自転車を守ってくれました。
→ 福祉用具屋さんの「ゴミ」は私の宝物・身長より大きいビニール袋の活用術
ただし、後輪は寿命ですと言われました
もう後輪は寿命ですよ。溝が全然ありません。

そう言われて、触ってみました。本当にツルツルでした。
このタイヤで運転していたのかと思うと、ちょっとゾッとしました。
前輪は昔一度取り替えていますから、そちらはまだまだ綺麗なままです。そのときは大きな音などしませんでした。ガタガタと言い始めたのです。それで変だなと思って持っていったら、劣化していました。
1回目は音がしなくて、自分で「変だな」と気づきました。2回目は路地でパンと鳴って、否応なしに知らされました。
気づいて持っていくのも、手入れのうちなのだと思います。
「十分に乗った証ですから」
溝がなくなったと言われて、少ししょげていた私に、店員さんはこう言ってくれました。
溝が全然なくなってしまったのは、別に悪いことじゃない。十分に乗った証ですから。なので今回、取り替えの時期が来ましたよ。
いい言葉をもらいました。
その方ご自身も、15年自転車に乗っているそうです。自転車は何年でも、パーツを交換しながらいけば一生乗れる。そういうお話でした。
タイヤとチューブを取り替えてもらって、修理代は8,844円でした。
パンクにも、種類があります
膝の症状と同じで、パンクと言ってもどういうタイプかで違ってきます。
チューブの穴を埋めるだけで済むパンクもあります。タイヤだけを交換する場合もあります。今回の私のように、全面的に消耗していて、チューブも外側も取り替えることになる場合もあります。
ですから「パンクはいくら」と、ひとことでは言えないのですね。
あとから知ったのですが、出張修理をしてくれるお店もあるようです。レシートの下に書いてありました。ただ今は人件費が高いですから、来ていただけば5,000円から8,000円はかかるのではないでしょうか。私は、その選択はしなかったと思います。
振り返ってみて、思うこと
パンクしたときに、冷静な判断はなかなかできないものです。
ましてや乗っている途中ですから、次に行く目的があります。今回はまだ近所だったのでこういう動き方になりましたけれど、仕事先だったり、前のように遠方だったりしたら、落ち着いて動くのは難しいと思います。
それでも、振り返ってみればこういうことはできるのだろうな、とは思います。
ひとつは、押して歩き出す前に、開いているお店を調べること。私は記憶をたどって歩き出して、4軒外しました。
もうひとつは、水曜日を疑うこと。自転車屋さんは水曜定休が多いようです。私は前輪のときも今回も水曜日でした。2回とも、同じところでつまずいています。
まとめ・直して、また走り出しました
14年目のタイヤを替えてもらって、うちの自転車はまた走り出しました。
もし買い替えていたら、電動アシスト自転車は10万円を軽く超えます。直したので、8,844円で済みました。
私が低い収入で、介護職の人間として60歳でFIREにたどり着けたのは、こういうことの積み重ねだと思っています。派手に節約をしたわけではありません。買い替えずに直す、を14年続けただけです。
ただ、その「直す」を引き受けてくれる人が、町から減っています。この日、私は5軒探しました。閉店が2軒、3日前に閉店したスーパーが1軒、水曜定休が1軒。開いていたのは5軒目だけでした。
私はこう思っています。
身体のことは病院の医師に聞く。自転車のことはサイクルショップの店員さんに聞く。
それぞれ専門で長けた人に聞くのが、最短の道です。
今回もそうでした。溝がないと教えてくれたのも、それは十分に乗った証だと言ってくれたのも、その道の人です。自分でいくら考えてもわからないことでした。
その最短の道の入口が、少しずつ減ってきているのですね。
押して歩いた1日は疲れましたけれど、「十分に乗った証ですから」と言ってもらえたので、悪い1日ではありませんでした。
まだしばらく、乗るつもりです。

※価格・サービス内容は2026年9月時点のものです。
【書いた人】
のらりくらりゆる〜く生活のストレスを排除しながらプチ節約をして、介護職でもひとりでも20年で住宅ローンを一人で完済。アラ還でFIREに辿り着いたりすねえです。



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